本との出会い その1 経絡治療


だれでも何冊かの大切な本というか、何かのきっかけを作ってくれたという本があると思う。
私には、東洋医学を教えてくれた本が、何冊かあるがその一冊について紹介する。
(書くことがない時は、過去を振り返る。)

この本との出会いは、次の様なことから始まった。
私は、最初の3年間の若手チームの担当からトップチームの担当に変わった頃、チームの中で何か自分らしさを出さなければ、何かのスペシャリストにならなければ、ここミラノでは生きていけないだろうということが分かった。
それには、まず、言葉だ。しかし、前回も書いたが言葉は、どうにもならない。センスがないのだ。未だに静岡弁が標準語であると勘違いしていると言われるくらいだからあきらめた。

そこで「遠藤家生き残り作戦」をいくつか考えてみた。

1つは、ACミラン編。もう1つはACミラン編外でのことである。
(これについては、後で書くことにする)

ACミラン編
私は、理学療法士ではないからリハビリを自分の武器には出来ないことは容易に分かった。
鍼灸は、イタリア人にインパクトがあってとても良いのだが、イタリアの法律上、医師しかできない。何が良いかと日々考え、探していた。

まずは、その準備として 手の感触トレーニングとして足の裏と股関節は、治療の際、必ず触ることにして、手を鍛えたのである。
これによって、調子の悪い時の選手の状態の関節の動きと良い時の状態のそれを足底と股関節のチェックで分かるようにしたのである。
毎日 同じ選手を触っているので当たり前であるが、そのうちにアレッサンドロ コスタクルタ選手がこのチェックを「endo check」と名づけたのである。

そして、このENDO CHECKをチーム内でもだんだん必要とする選手が出てきた。
練習前後、試合前に選手の足の裏から始まって膝、股関節、腰とコントロールして行くのである。およそ3分である。このチェックで問題が無ければ、それ以上何もしない。最初は、これで終わりかと怒る選手がいたが、悪くも無い所は触る必要なしと突っぱねたのである。しかし、自分の身体に問題ないということで安心する選手もでてきたのである。
そして 私も選手の身体の特徴を理解し始め、凝っている部分、調子悪い部分を私が言い当てるようになると自然と選手間で話題になり、私自身の存在感もチームに出てきたのである。

そうこうしているうちに ようやく、あることを習得しようと考えた。

それは、「指圧を軸に痛いところを触らず他の部分を触って痛みを和らげる」である。

指圧は、「指圧の心は、母心、押せば命の泉湧く」で有名な浪越徳次郎氏よって世界に広められたので、イタリアにも「SHIATSU」の書籍がたくさんあり、多くの人が興味を持っている。

なぜ、このように考えたかというと、まず第一に、選手、同僚等にインパクトがある。と同時にいくら選手が痛がってもその痛みを訴えている部分を触るわけではないので、悪化させることは、絶対にないから安心して治療できるということである。
したがって、翌日になって治療した部分が悪化しても私の責任ではないことは明確である。(東洋医学的には問題ありだがみんな知らないからOK)
この考え方は、重要である。
年収、数億円の選手を私が触って壊してしまえば、そこで 4人の子供が路頭に迷うことになってしまうのである。
治らなくても壊さないというこの方法は、ベストである。
加えて、すべての同僚のトレーナーが治療した後、最後にやらせてもらえば、治らなくても当たり前、治れば 「endo bravo!」ということになる。

そこで インターネットを使っていろんなサイトを見て、出来るものはやってみた。そして、日本の友人から、経絡治療を勉強するのが良いと薦められ、その本を買った。(といってもイタリアで日本の本を手に入れるには、本代金より、送料が気になるので友人が来伊する際に持って来てもらうのだ)

読んでみて もし、これが出来ればと思って、この本を信じて選手に試してみたが、敏感な選手は、しっかり反応するのである。
Endo checkをして、凝った部分に関連した経絡の主要部のつぼを押すと異常に反応するのである。アンブロジーニ選手やインザギ選手などその代表である。
まだまだ 100%習得していないが、私の頭の中には、解剖図と経絡図が混ざった人体模型のイメージが出来つつある。女房の頸の凝りが治せるようになれば、完成ということになるだろう。もっと勉強しなければ!と思いつつも何もやっていないで ブログなど書いているからダメだな!
PHOTO;この顔が引き締まった時が、ENDO CHECKの完成の時だろう!まだまだだ!

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