チャンスはいつかやってくる。

今日は、久々にチャンピオンズリーグの遠征に帯同し、スイスのチューリッヒに来ている。

週末以外は遠征に行かないことにしているが、いろいろとあって来ることになった。

明日の試合は、一次リーグを突破できるかどうかの重要な試合である。だから、勝てば、チームには 賞金が入ってくるはずだから、フロントサイドは、気合いが入っている。

ところで 昔 だれかが、「負けるケンカはしてはいけない」、また、「現在を考えるよりも未来を考えることが必要だが、決して先走り過ぎてはいけない。3歩ぐらい先がちょうど良い。」

ということを言っていた。

先日、イギリス帰りの同僚に突然、次のようなことを言われた。

endoー お前の弟のtomonoriはいつ帰ってくるのか。」

「今、何をしているのか?」

「あいつは 良い奴だったなー」

私は、すぐさま 何が言いたいか分かり、こう答えた。

「イタリア娘にほれ込んで、ナポリにいちゃったから もう戻らないよ」

この同僚は、5年前に1年間ミランにいたが、上司と合わず、首にされ、再び戻って来た理学療法士である。

彼は、良いと思ったことは、どんどん実行するし、チームの中では彼が一番仕事をし、選手からも信望が厚いし、経験も豊富である。しかし、これが、サラリーマン化している同僚からはある意味煙たがれているし、ボスからはそれ以上に嫌がられているようである。

こんな彼には、昔の私が、バリバリ仕事をしていたのに対し、最近の私の仕事ぶりに物足りなさを感じているのだろう。

だからこのようなことを言ったのである。

以前の私は、まず、ミランの選手に認められることが、最も重要だったので、ドクターの指示でやって治るはずがないと思った時は、隠れて鍼をしたり、勝手に別の治療したりして、私の実力を選手に示し、それを認めてもらおうと懸命だった

いろいろ失敗もしたし、上手く行ったこともあった。

ある時、隠れて治療して治したまでは良かったが、選手が、それをドクターにばらしてしまい 医療部のミーティングで血祭りにあげられたこともあった。また、上手く行った時には、選手から私の1ヶ月の給料分程のボーナスをこっそり貰ったこともあった。

そうこうしている内に、他の同僚達には無い技術を私が持っていることが、徐々にある特定の選手には理解されてきている。それから私を必要とする選手にしか触らず、対象範囲を下手に広めなかったので余裕もでてきている。 だから最近は、上司も簡単に私を首に出来そうもない雰囲気になりつつある。

一生懸命やることは、ある意味、同僚から選手を奪うことになってしまうことである。自分なら治せるとか治せないとか言うよりも、気持ち良く仕事が出来ることがある意味大切だと感じている。

しかし、これは、ある意味では、チームに対する反逆行為であると分かっているが、リスクを冒してまでも良いことをしようとは思わない。私には4人の子供が口を大きく開けて家で待っているからである。

これ以上良くなってもそれに伴なって評価(サラリー)が上がるわけではないことも十分に分かっているからである

しかし、子供が成長して行けば、お金は必要であるので、どこかでがんばらねばならない。 守備に回ってばかりはいられない。攻撃に出なければならないのだ。

これを考えると、ミランで今以上にがんばることよりも、現状の信用と真面目さを損なわない程度で どれだけ他のことに力を注げるかということになる

私は、現在、ミランの他にプライベートで数人の患者さんを持っているが、遠征に行かなければ、その分の時間をそちらに注げ、収入は増えるのである。

しかし、ミランの仕事を疎かにしたら、それですべておしまいになってしまうことも重々承知である。

したがって、その辺の匙加減がむずかしい。

今年の契約更新の話の時、金銭の話はせず、少なくとも週末以外の遠征に帯同しないという許可をフロントから得た。これは、私にとっては、重要なことだった。エネルギーをミラン以外で使えるということである

しかし、だからと言って、今後、ずっとこのようにサラリーマン的に仕事をする気は全くない。

いつかは、今まで経験したこと、自分が正しいと思ったことをすべてやって、自分のイタリア生活を締めくくりたい。

少なくとも、昔、清水エスパルスにいたときのような戦い方はもうしない。ちょっと賢くなったところを見せなければならない。

今は、自分の城を固めて、勝負する時をじっくり待つことだと思っている。

コメント

  1. 皇潤のTVコマーシャル地元で大反響です!!
    乾布摩擦クッズの販売、ACミランの手記出版等
    日本でも稼げますよ~!!私にも手伝わせて~!!

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  2. しっかりがんばってくださいね。

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  3. おめでとうございます。ミラン2位確定ですね。最近、内容がとても充実していて、以前にも増して楽しみです。そのうち、出版という運びになることを期待してます。ただ、以前、試合前の特定の選手の好不調の記述がありました。現読者としては内幕編は益々エキサイティングなんですが、カルチョの国だけに、友則君がマフィアに消されないか、ちょっと心配になりました。

    能力の発揮の仕方も、特に興味深く拝見しました。評価を受ける立場の場合、誰に評価されるか、また、どの層に評価されるかは難しいですね。私もシステムエンジニアとしての開発現場が長かったのですが、発注する経営陣やシステム部門のニーズと、利用者の利便性のバランスを見極めるあたりがもっともスリリングでした。もっとも影響力のある人と、もっとも本質を理解している人は往々にして違う場合が多いのですが、それぞれとうまくコミットできたときは、開発もとてもうまくいったように思います。

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